kani、早いもので、来春には小学校入学を控えています。
このブログを始めた頃は赤ちゃんだったのにねぇ~。早いわー。
kaniは数値もぶっちぎりで高いし、アレっ子判定も生後一ヶ月でついてしまった札付きのアレっ子。
今までお世話になった先生方の誰一人として「小学校に入る頃には…」なーんて言ってくれる方もいませんでしたので、あんまり期待もせずに、それでも少しでもみんなと同じようになっていければ…とここまでやってきました。
小麦は4歳で解除。
ピーナッツは二度の負荷試験を経て、食べても特に目立った症状はないけれど、どーしても味(風味?)がうけいれられず、食べた後に気分不快、だるさを訴えます。
成分として入っているぐらいなら、おそらく食べられるのでしょうが、ピーナッツの味とか風味が隠れていないものは食べられないようです。で、主治医的にも除去した方がいいねぇ~、という診断。
あとは、魚卵でチャレンジしていないイクラとか、数の子とかありますが、とりあえずそのあたりは、無理して食べなくてもいいだろう、ってなことでスルー。
残すは、卵と牛乳のおっきな敵ですよ。
はふー。
卵は以前書きましたが、加熱した卵黄は負荷試験で食べることができました。
乳は、加工肉なんかのわずかな成分でも症状を出すほどで、かなり強敵な感じ。
母のカンとしては、きっと、おそらく。
卵の方が可能性があるんじゃないかなぁ…。
それでも。
「わずかな量で症状が出る」
という乳を何とかしたい、と思いました。
ほんとに、何度も、何度も、何とかしてあげたい、と。
このまま待っていても、口にすることができるようになんてならないんじゃないかな。
少しでも経口摂取して免疫をつけさせたい、と考えたので、主治医に負荷試験をお願いしたのは去年のことです。
「そんな少しの量で症状が出るなら、負荷試験をする意味がない。」
主治医からは、そう言われたのです。
確かに。
確かにそうなんだけど。
じゃあ、待っていたら、いつか牛乳を飲むことができるようになるのかな。
家族が乳成分の入ったものを食べた時の食器の洗い方からゴミの始末まで、ずーっとピリピリしなくちゃいけないのかな。
そんなことを、ずーっとモヤモヤと考え続けて。
それで、私は、去年の夏、初めて医者のいいつけを破って、暴走することを決めました。
負荷試験もしてもらえないのなら、負荷試験をしてもらえるところまで、私がつれていく、と決めたのです。
できることなら、好きな食べ物で、そして、いつでも手に入れやすいもので、と考え、スーパーで手に入る食パンのうち、材料ができるだけシンプルなものを選んで、それをほんの少しずつ食べるところから始めました(乳成分の含有量はメーカーに問い合わせたところ気持ちよく教えていただきました)。
パンは小鳥のえさぐらいから。
思ったよりも、パンは順調に増量できて、途中から牛乳と一日交替で。
量が増えてくると毎日牛乳だけにして続けました。
一年と2ヶ月あまり。
医者にも内緒で、素人の母親が、勝手にやってきたことです。
あくまで、自分の責任で。
彼女は今日、病院の負荷試験で、5ccを30分おきに4回、トータルで20ccの牛乳を何事もなく飲んできました。
家でも飲んだことのない量です。
ほんの牛乳一滴が飲めなかった娘が、ここまで順調に量を増やしてきたわけではありません。
ほんの0.1cc増やしただけでも体は敏感に反応し、口の中に痒みを訴えることが何度もありました。
症状はだいたい軽いものだったので、家にある抗アレルギー剤を内服すれば治まる程度でしたが、それでも、医者の指示に従わない、ということはやっぱり色んな面で、負担が大きかったのです。
夏前に、「家で乳成分入りのパンを食べたことがあるのですが、大丈夫でした。」とカミングアウト(正確にはカミングアウトじゃないけど)し、夏に負荷試験する予定でしたが、夏風邪で延期。
今回の負荷試験に至ったわけです。
今回の負荷試験を受けて、自宅での正式な負荷の指示がおりました。
来月、また増量しての負荷試験を予定しています。
去年、三女nicoがアレルギー検査の結果、卵も牛乳も食べられる、と分かった日のことです。
それまで、kaniは、小さな自分の妹も、自分と同じアレルギーだと信じていました。
kaniに「nicoちゃん、アレルギーがないほうが良いと思う?それともアレルギーの方が良いと思う?」と聞きました。
「あれるぎーじゃないほうがいいとおもう。」
「自分が大変だから、nicoはアレルギーじゃない方が良いと思うの?」
「うん。」
「そっか。ありがとね。nico、アレルギーじゃないみたいなの。牛乳も、卵も食べられるみたいなんだ。」
そう話すとkaniの目から、ぶわーーーっと、本当に大粒の涙が溢れ出しました。
アレルギーじゃない方が良い、そう思った自分の心と、
正直に喜べない自分の心と
闘っているのが、手に取るように分かりました。
「kaniが食べられないのは、kaniのせいじゃない。お母さん、絶対kaniが食べられるようになるまで、諦めないで、できることはなんでもするからね。」
そう言うと、「うわぁぁぁぁーーーーん。」と大声でほんとにおいおい泣いたのです。
私も、胸が痛くて、痛くて。
すごく申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまったのです。
実はその頃のkani、食パンは大好きで、どんどん大きいサイズに挑戦したがっていたけど、牛乳を増やすのはイヤで、ものすごく消極的でした。
でもこの日は「4つぶいってみる。」と4滴に挑戦したのです。
次の日の朝、驚くことを言いました。
「ねぇ、おかあさん。こんど、nicoちゃんが、よーぐるとたべるとこ、みてみたい。」
「え?見たいの?」と聞き返すと、
「うん、おいしい、おいしいってたべてるとこ、みてみたいの。」
ほんとね、うっかり朝から泣きそうでした。
kaniの強さに、どれだけ助けられてきたことか。
私がしてきたことは、決してお勧めできることではありません。
誰か、私のやったことをマネしたい、と言ったら、間違いなく止めることでしょう。
特に乳の経口免疫療法は難しい、とよく聞くからです。
私にはそんな無責任なことは言えません。
本当ならば、主治医と同じ考えで、同じ歩調で進めていけるのが一番なんだと思います。
でも、私にはそうしてくれる医者がいなかったのが現実なのです。
できることならば。
小学校に入るまでに、みんなと同じパンが食べられるところまで。
少なくとも「一滴が危険」なところから「自宅で経口負荷の許可が下りるところまで」は連れて行けたので、ここからは先生と一緒に、kaniのことを見守っていこうと思います。
私もやっと「自分一人で」背負っていたところから、肩の荷を下ろすことができました。
やっぱり、ナイショでやるなんて、良くないんです。
小学校入学まであと少し。
入学予定の子どものうち、アレっ子はkaniともう一人だけ。
少しでもkaniが笑顔で心配のない入学を迎えられるよう、親としてできる限りサポートしていこうと思います。